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地球生命圏研究機構

SELIS セミナー

日時

2015年12月7日(月) 16:30~18:00

場所

環境総合館2階、第2会議室   

講演者

           高橋 暢宏(宇宙地球環境研究所 飛翔体観測推進センター)

講演内容

「 人工衛星からの降水の観測について

 地球全体の降水を把握することは、地球規模の大気の循環を理解するうえで重要であるほか、地球温暖化による影響の評価などにも重要である。人工衛星からの観測は全球の降水を把握する上で最も有効な手段である。本セミナーでは、主に人工衛星からの降水観測について熱帯降雨観測衛星(Tropical Rainfall Measuring Mission, TRMM)や、その後継ミッションである全球降水観測計画 (Global Precipitation Measurement, GPM)を中心に機器や観測・解析結果などについて紹介したい。さらにこれらを利用した降水マップの作成と利用や降水観測ミッションの将来の動向についても触れたい。
  人工衛星を用いた全球降水量の推定は、TRMM以前においても静止衛星の赤外放射計やマイクロ波放射計を用いて行われてきたが、TRMM搭載の降雨レーダ(Precipitation Radar, PR)の出現により、その信頼度が一気に高まったと言える。さらに、PRをリファレンスとして利用することにより、マイクロ波放射計 による降水強度推定も 改善し、それがマイクロ波放射計を中心として、静止衛星の赤外放射計観測と組み合わせた高時間分解能の全球降水マップ(例えば GSMaP)の開発につながり、それがGPMのコンセプトとなった。
TRMMによる観測からは、そのほかにも地球上の各地における降水の日変化の特徴 を明らかにするなどの科学的な成果も上がっている。TRMMは 1997年の打上げから約17年間にわたって観測を継続し本年3月末で観測を終え、現在は昨年2月に打ちあがったGPM主衛星が観測を継続しており、レーダによる降水観測のレコードとしては約18年分が蓄積されている。GPM主衛星に搭載されているレーダはTRMM/PRが一周波であったの対して二周波の降水レーダであり、TRMM/PR以上の 降水推定精度の向上および降雪と降雨の分離などに性能を発揮することが期待さ れている。
  TRMMやGPMの成功から将来の降水観測ミッションに関する議論も進みつつあ る。その方向性として、降水のプロセス研究として雲・降水の相互 作用の研究 に供することのできるミッションやGSMaPをレーダのデータで構成するようなよ り社会的なミッションなどが議論されている。また、究極的な姿として静止軌道のからのレーダによる降水観測も提案されている。基本的な性能の要求としては、走査幅の拡大や感度の向上、空間分解能の向上があり、それらのうち走査幅の拡大や空間分解能の向上に関してTRMMのミッション終了時の降下時に特別観測実験を実施し、ユニークなデータを取得している。